“現場”で課題発見×事業連携で地域活性化「琵琶湖岸オープンカンパニーツアー」
滋賀県守山市では地方創生の柱として「起業家の集まるまち 守山」を掲げ、多様化する社会課題解決のため、市内外のスタートアップをはじめとする民間企業との官民連携による民主導の地域活性化・持続可能社会への貢献を目指しています。
また、琵琶湖に面する立地を活かした湖岸エリアの振興と観光誘客を見据えて「琵琶湖アドベンチャーツーリズムの発着地 守山」として、官民連携による持続可能な地方創生の実現を目指し、民間事業者同士の連携や横展開を進めています。
こうした取り組みの一環として、地元の中高生や市内外の企業などを対象に、湖岸エリアの事業者の「現場」を訪問しながら地域の課題や可能性を学ぶプログラム「琵琶湖岸オープンカンパニーツアー」を実施しました。
湖岸エリアの中高生・市内外企業を繋ぐオープンカンパニーツアー
2026年3月7日(土)、守山市の湖岸エリアを舞台に「琵琶湖岸オープンカンパニーツアー」を開催しました。

当日は、市内の高校生2名と、スタートアップを含む市内外の企業4社の関係者などが参加し、守山市役所を出発地点として湖岸エリアに立地する企業・施設4か所を訪問しました。
今回の取り組みは、地元の学生が地域課題の解決に取り組む企業や起業家と交流し、実践的な学びを得るとともに、企業・団体間の事業連携の可能性を探ることを目的としています。また、本事業は琵琶湖岸エリアの企業と中高生、市内外企業をつなぐ「オープンカンパニー型交流事業」として、学生と企業が同日に一堂に会するツアー形式で実施しました。
地域課題解決に取り組む4つの「現場」を視察
当日は守山市役所に集合し、湖岸エリアに立地する企業・施設を巡るツアー形式でプログラムを実施しました。各視察先では、事業内容や地域との関わりについて説明を受けたほか、現地社員と参加者による意見交換やディスカッションも行われました。
びわこもりやまフルーツランド
最初の訪問先は、観光農園として地域の農業振興にも取り組む「びわこもりやまフルーツランド」(株式会社ザ・コロナパークス)です。

同園は、滋賀県守山市北部の湖畔に広がる休耕地や旧産地を活用し、梨やぶどうを栽培する観光果樹園です。もともとは1991年に野洲川の埋立地に整備された果樹団地でしたが、2019年に農地の借地期限が到来したことをきっかけに高齢化による離農が進み、一時は産地の半分以上が耕作放棄地となりました。
こうした状況を受け、守山市から声がかかったことをきっかけに、若手メンバーが集まる株式会社ザ・コロナパークスが産地の担い手となり、現在は平均年齢25歳のスタッフ5名が農園の管理・運営を担っています。

夏季(8-9月)のみの営業で、ツアーで訪れた冬季は営業休止中。
園地では、作業効率を大きく高める「ジョイント栽培」などの新しい栽培技術の導入や、地域と連携した資源循環の取り組み、観光果樹園としての観光事業の展開、抱える課題などについてお話しいただきました。
参加者からは、「梨の味の良し悪しは何で決まるのか」「直売所をオープンしていない時期はその土地はどうしているのか」「資金繰りはどうしているのか」など、農園経営に関する質問が多く寄せられました。
レークさがわ
続いて訪問したのは、SGホールディングスグループの保養施設「レークさがわ」です。

同施設は、従業員の保養や研修を目的とした宿泊施設で、5階建て・全26室の客室を備えています。施設内には温泉大浴場があるほか、広大な敷地内には体育館、陸上競技場、野球場、ソフトボール場、サッカーができる多目的広場などのスポーツ施設が整備されており、グループ内の福利厚生施設として利用されています。隣接地には佐川美術館も位置しています。

施設見学では、企業の福利厚生施設としての役割に加え、地域貢献の取り組みについてお話しいただきました。また、従業員による施設管理体制や、外部専門業者と連携した設備管理についてもご説明いただきました。
参加者からは「施設運営で最も困っていることは何か」「芝生などの専門的な維持管理はどのように行っているのか」「外部企業の研修利用はどの程度可能なのか」といった質問が寄せられ、施設の老朽化への対応や技術活用の可能性、サービス業界を取り巻く人手不足などについても意見交換が行われました。
琵琶湖レークサイドゴルフコース
続いて訪問したのは、「琵琶湖レークサイドゴルフコース」(株式会社アヤハゴルフリンクス)です。

同コースは、琵琶湖に面した27ホールのパブリックコースを持つゴルフ場です。起伏の少ないフラットなコースでは初心者にも気軽にゴルフを楽しんでもらうことができ、フェアウェイへのカート乗り入れや、早朝からナイターまでの営業など、気軽にゴルフを満喫できます。また、オープン利用でリーズナブルな価格設定が特徴で、滋賀県内だけでなく京都・大阪など、関西広域から利用者が訪れています。
施設見学では、GPSナビを搭載したカートや自動チェックイン・精算機など、ゴルフ場における技術活用や安全管理の取り組みについてご紹介いただきました。また、近年の猛暑の影響による日中利用の減少と早朝・ナイターの営業、採用・スタッフ確保の難しさなど、ゴルフ場運営における課題についてもご説明いただきました。

参加者からは、「カートの導入費用はどの程度か」といった設備面に関する質問のほか、「芝の刈りかすはどのように処理しているのか」「学生からシニアまでスタッフがいるが、どのような理由で働かれているのか」など、運営や環境対応に関する質問が多く寄せられました。
ヤンマーサンセットマリーナ
最後に訪問したのは、守山市にあるマリーナ施設「ヤンマーサンセットマリーナ」(ヤンマーコーポレーション株式会社)です。

同施設は、ヤンマーコーポレーション株式会社が所有するマリーナ施設で、ヤンマーグループ創業の地である滋賀県・琵琶湖に面する、同社唯一の”マリーナ”です。敷地内には、安心安全なマリンライフを支えるクラブハウス機能と、直営のホテルを兼ね備えた「ヤンマーサンセットマリーナ クラブハウス&ホテル」と、ホテル「セトレマリーナびわ湖」が併設されています。

施設見学では、ヤンマーサンセットマリーナの宿泊施設内のスイートルーム「サンセットスイート」や水草を刈る専用船、有事の際に活用されるレスキュー艇などを見学しました。また、マリーナ内に設置しているコンポスターも見学。施設内で出た生ゴミや将来的には、着古したピエクレックス社製のユニフォーム(過去記事参照)を堆肥化し、育てた野菜をホテルで提供する資源循環の取り組みについても紹介いただきました。

コンポスターで堆肥化した肥料が使われている
ヤンマーサンセットマリーナでは環境に配慮する取り組みを推進しており、2025年4月にビーチ・マリーナ・観光船舶に特化した国際環境認証「ブルーフラッグ」を、アジアの湖で初めて取得。取得にあたって様々な施設改善に取り組み、マリンライフの心地よい体験と、環境負荷の最小化を両立した持続可能なマリーナを目指しています。
琵琶湖の深刻な課題となっている外来水草についての説明もあり、参加者からは「外来水草の問題に対して国からの支援はあるのか」「外来水草の対処はどのようにしているのか」など、外来水草に関する質問も多く寄せられました。また、「刈り取った後の活用方法が見つかっていない。大量に利用できるよいアイデアはないか」といった意見交換も行われました。
「現場」を知ることで広がる、事業連携のさらなる可能性

ツアーの最後には、ヤンマーサンセットマリーナにて振り返りの時間を設け、4か所の訪問を通して得た気づきや学びについて参加者全員で共有しました。
参加した企業からは、具体的な連携アイデアが挙がったほか、今後も共創の可能性について対話の機会を持ちたいという声や、視察先の企業と個別に面談したいという希望も寄せられました。

今回のツアーを通じて、参加企業にとっては琵琶湖岸エリアの企業との連携の可能性を探るとともに、地方の「現場」を学ぶ機会となり、新たな課題解決や事業連携につながる契機となりました。また、学生にとっても、会社説明や現場見学を通じて地元で働く魅力やキャリアについて話を聞く貴重な機会となりました。
本ツアーがきっかけとなり、守山・琵琶湖岸エリアにおける新たな連携や挑戦が生まれるとともに、官民連携による地域課題の解決や地域活性化につながっていくことを期待します。
(取材 = 株式会社COMARS 吉武[守山市・琵琶湖岸における官民連携によるオープンカンパニー事業実証業務受託事業者])
